社会人にとって考える力を身につけることはとても重要です。
誰しも自分なりによく考えているつもりですが、どんなに優秀な人間であっても自身が知りえた情報の範囲でしか考えることができません。また、自分なりの思考は知らず知らず偏り(バイアス)が発生し、正しく考えているようでも思考の範囲は限定的になるのです。
では、「正しく考える」ためにはどうすればよいのでしょうか?この問いに対する回答として「クリティカル・シンキング」を学ぶことをお勧めします。
下図にクリティカル・シンキングの学習体系を示します。
学ぶことがたくさんあるように見えますがコツ(概念)をつかめば難しくありません。学術的な知識も大切ですが、より業務で役に立つ「実践力」を身につけてください。
1. クリティカル・シンキングとは
1) クリティカル・シンキングの定義
クリティカル・シンキングを以下のように定義します。
「 物事を客観的・論理的に考え、
それを相手に解り易く伝える手法 」
世の中には、類似用語として「ロジカル・シンキング」という言葉があります。
「ロジカル・シンキング」と「クリティカル・シンキング」は、ともに論理的に考えるという意味では同じですが、論理の前提条件を常に確認しながら論理思考を進めるという点で、大きな違いがあります。
ビジネスの現場では、前提条件が変化することはよくあります。例えば、円高局面で経営戦略を考えて事業計画を立案していた時、為替環境が急激に変化し、円安に見舞われた際にはそれまで構築していた経営戦略が円高前提で考えていたため、いったん前提を「円安」に切り替えて経営戦略を練り直す必要があります。このように論理の前提を常に考えながらロジカルに倫理展開する必要があるため私たちは「クリティカル・シンキング」を学ぶ必要があるのです。
ちなみに「クリティカル」には「批判的な」「懐疑的な」という意味があり、常に前提を疑いながら論理展開するという意味で「クリティカル・シンキング」を学びます。
また、常に懐疑的な思考をすることで「思考をどんどん深める」「幅広い視野で思考する」といった意味もあります。
さらには、「解っていることとできることは違う」という観点から、「クリティカル・シンキング」は「できるようにする」という実践的な側面もあります。
2.ゼロベース思考
1)クリティカルの考えるための「ゼロベース思考」
「ゼロベース思考」とは、「 これまで当たり前、仕方がないと考えていた既存の枠に捕らわれずに考えること 」です。
クリティカルに考えるためには、既存の概念を取り除くことが重要です。
人は誰しも過去の経験や常識等により思考の偏りを持っています。
これを払しょくしなければ「ゼロベース思考」はできません。
「既存の枠を取り払え」といってもなかなか難しいのが実情です。
ではどうすれば常識・経験を取り払うことができるのでしょうか?
過去の成功体験が邪魔になり、ゼロベースで考えることができない場合もあると思います。
「ゼロベース」で考えるためには、日々「本当にそうなのか?」「なぜ、そう言えるのか?」と自問自答することが重要です。
また、いつもと違うシナリオを考えることで「ゼロベース思考」の訓練になります。
例えば、
①新入生に対し、大学教授が「経営戦略についての本を今週中に10冊読んで勉強しておくように」
といった課題が与えられたとします。
さあ、あなたはどうしますか?
「1週間に10冊なんて無理だ!」「速読術を身につけていないとできやしない!」「今日から毎日読書に全集中だ!」
なーんて考えたりしていませんよね。
もし、このように考えたとしたら既存概念にとらわれています。
「ゼロベース思考」では、与えられた課題に対して「目的性」をまず考えます。
「本を10冊読め」という言葉の目的は、何でしょう?
・新入生に対し、経営戦略を事前に学んでほしいという意味?
・10冊を熟読することは、常識的に難しい?
と云うように考えると、課題に対する対応を次にように考えます。
・10冊読むというのは、熟読するという意味ではなく、「経営戦略の概要を理解する」という意味ではないのか?
そうであれば、図書館に行って経営戦略という名前についた本を10冊並べて、「本の前書き」や「目次」を比べることにより、どのようなことが書かれているのか大まかな概要は理解できる。
大まかな概要を掴んだうえで、読みやすそうな本をベースに共通する項目に目を通してみる。こうすることにより経営戦略の概要は、短期間に理解できるはずです。
「経営戦略の本を10冊読め!」という意味は、詳細な知識をつけるのではなく、「経営戦略の概念を掴め!」ということなのです。
②コンサルティング会社に転職したら「これまでの3倍の仕事をしてもらう」と上司から言われたとします。
「3倍仕事をする」という意味は、労働時間を3倍にするという意味ではなく、3倍の効率で仕事をこなしてくれという意味なのです。では、どうすれば3倍の仕事ができるのでしょうか?
生産性の高い人は、仕事をする速度が速いわけではないのです。
生産性の高い人と低い人の違いは、問題を解く前に、問題の「見極め」をしているかどうかなのです。
つまり、問題を解く目的をゼロベースで考え、問題解決の最適解を最短で実行する方法を見極めるから生産性が高いのです。
3.論理展開の2タイプ
相互補完の関係である
正しい論理展開を習得するメリット
① 理解力が増す
② 反論力が増す
③ 推理力が増す
④ 説得力を高められる
⑤ 創造性を高められる
論理展開の方法は、
基本的に「演繹法」と「帰納法」の
2つのパターンで成り立ちます。
どちらの論理展開が正しいというのではなく、「演繹法」と「帰納法」は相互補完の関係にあります。
1) 演繹法
「真理から、結論を導く」論理展開です。
例えば、「3段論法」がこれに当たります。
①人間は死ぬ、②私は人間である、③故に私は死ぬ ・・・ 3段論法
「人間は死ぬ」という真理をもとに論理を展開すれば、「私は人間である」という事実から
導かれる結論は、「私は死ぬ」ということになります。
演繹法のデメリット: 真理の論理展開を誤れば、
誤った結論になります
事例:風が吹けば、桶屋が儲かる
①江戸時代は風が吹けば、つちホコリが舞う。
②つちホコリが舞えば人の目に入り、失明する人が増える
③失明した多くの人は、三味線の語り部になる
④三味線の語り部が増えれば、三味線が多く必要になる
⑤三味線が多く必要になるということは、三味線に貼る猫の皮が必要になる
⑥猫をたくさんとらえるので、ネズミを捕る猫が少なくなる
⑦猫が少なくなれば、ネズミが大量発生し桶をかじる
⑧ネズミが桶をかじれば、桶屋が儲かる
2)帰納法
「多くの観察事項(事実)から、真理を導く」論理展開です。
EX)
①歴史上の偉大な人物は、すべて死んだ ②ニュースで世界最高齢117歳の死亡が伝えられた ③創世記によればノアは950歳で死んだとされる
⇒人間は、必ず死ぬ(120歳を超えて生存は困難?) デメリット:そもそも導いた真理は正しいのか?
4.その他の心がけ
1) 原因追及の視点
2) 仮設思考
5.MECE(モレなくダブリなく)
1)工事中
6.フレームワーク
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7.ロジックツリー
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8.ピラミッドストラクチャー
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